百色眼鏡〜Kalos Eidos Skopeo〜とは
大正十二年夏、 東京――

カフェーに垂れ込める、自由の香気。
恋を語る若者に物憂い光を落とすガス灯。
浅草にまだ十二階がそびえ、六区の喧噪を見下ろしていた頃。

彼はかつて、ここに居た。
陸軍幼年学校も暑中休暇、束の間の解放感にひたる十七歳の青年。

彼は出会う。
たとえばそれは、揺籃の帝都を暗く染める、連続猟奇殺人。

そして謎、友情、あるいは恋。

時代を紡ぐ様々な出来事を経験し、やがて――
彼は、この国を形作っていた全て、その断末魔を聞くことになる。



・・・時は流れ、現代。
かつての青年は今、死の床にあり、夢を見ている。

夢は、今は遠い時代。
失われた、大正の記憶。


あるいは過去の因縁が彼の元を訪れ、物語ることもあるだろう。
それもまた、ひとつの結末。